憲法記念日|日本国憲法|オンライン学習|

query_builder 2022/05/03
小学生中学生高校生
日本国憲法


オンライン学習、オンライン塾のSOLAです。


本日は憲法記念日。


「GWの中の1日」としか認識していない小中高生も多いかも知れませんが、日本国憲法が施行された(使われ始めた)日ですね。


詳しくは「教科書を読んでね」って感じなのですが、今回は「日本国憲法の特徴」というか、「すげー」所や「細かいネタ」をいくつかつまみ上げてお話しようかと思います。


「知ってるよ!』ということから「知らなかった!」と思うことまで、色々と。皆さんはいくつ知ってましたか?


①読み方は「にほんこくけんぽう」または「にっぽんこくけんぽう」です。


「いきなりなんだそれ?」と思われるかも知れませんが、「読み方が二つある」「どちらでも良い」というコト。これは珍しい話です。


そもそも、この国の正式名称はなんなの?というお話につながります。


皆さんの住んでいるこの国の正式名称は「にほんこく」または「にっぽんこく」どちらでも構いません。


しかし「日本銀行」は「にっぽんぎんこう」が正式名称です。国の唯一の発券銀行、政府の銀行、銀行の銀行。


もしお手元に「お札」がありましたら、確認してみてください。"NIPPON GINKO”とはっきりと書いてあります。


②日本の憲法なのに、作ったのは日本人ではない。


有名な話ですが、この憲法の原案を作ったのは、第二次世界大戦のポツダム宣言受諾後に日本を占領した、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)です。


って、よく聞きますけど、実際に作ったのはGHQの中の誰なの?


「マッカーサー」じゃないよ!


GHQ民生局長コートニー・ホイットニーと、その部下マイロ・ラウエルを中心とした、「民生局のメンバーたち」です。


もちろん、最初は「英語」で作られて、その後日本語に訳されたのです。


③GHQはこの憲法の草案を「1週間で」作った。


最初の憲法草案は英語で、1週間で作られました。さらにそれを1日半ぶっ通しで作業して作られたのが憲法改正草案要綱」で、後の日本国憲法のたたき台となった草案です。


つまり、「原案」「草案」自体は、併せて10日前後で出来上がった、という事になります。


もちろんその後幾度が修正は行われましたが、そんな突貫工事で作ったものが、長い間使われているって、結構すごくないですか?


④日本国憲法の「誕生日」はいつ?


教科書にはこう書いてあります。

「公布(発表)された日」が1946年11月3日(現在の文化の日)。

「施行された(使われ始めた)日」が1947年5月3日憲法記念日)。


実は、知られざる「誕生日」があります。


それは、1946年5月16日


この時日本では、「大日本帝国憲法」が使われていましたが、

改正には帝国議会の議決が必要です。「憲法を改正して新憲法にする」ことが決定した日が5月16日。

この日の会議以降、正式な公布や施行の日取りも決まったわけですね。



⑤「三大原則」は憲法のどこにも明記されていない。


「国民主権(主権在民)」「基本的人権の尊重」「平和主義」が憲法の三大原則と言われていますが、実は「この3つが憲法の原則である」とはどこにも書いてありません。


ではどうしてこの3つが三大原則と言われるようになったか?


それは、この憲法の根本が、先の戦争の反省を生かした上で「個人の尊厳にあるべきだ」と考えた学者がいたからです(宮沢俊義)。


その根本を守るために必要なものは、「主にこの三つだろう」と考えられた、という事ですね。


ですから、「憲法の三大原則」は、実は国の公式発表ではなく、一人の学者の「意見」に過ぎなかったのです。


⑥「世界一長い間改正されていない憲法」である。


日本国憲法改正のためには、第96条に基づき、


「各議員の総議員の3分の2以上の賛成により国会が発議し、国民投票で過半数を得れば改正が承認され、天皇が国民の名の元にこれを公布する」


と長々しくも定められています。面倒臭そうですね。

そう、実際には面倒で、結論から言うと、日本国憲法は今までに一度も改正された事がありません。


これは、「世界で最も長い期間改正されていない憲法」なのです。それだけ完成度が高かった、という事かもしれません。


⑦「平和主義」が書かれている箇所は?


簡単。それは「第9条」です。


と答えたら△です。正解は「前文と第9条」です。


条文ばかりクローズアップされますが、日本国憲法の前文、よく読んでみると面白いですよ。いい事書いてありますよ!


「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」


と書かれている。第1段落の一部と、第二段落は丸々平和主義についてですね。


なお、第9条は、


第9条

①日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 

②前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。


第2項では、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と書かれているのに、どうして自衛隊は存在しているの?に対する解釈が、第1項の「国際紛争を解決する手段としては」という条件を入れてあるので、防衛の軍隊である自衛隊は憲法に違反しない、という解釈が長い間取られてきました。


※余談ですが、「平和主義」を勘違いしている人が多い気がします。これは、また別のところで書こうと思います。


なお、憲法は国の最高法規。これより強い法律や規則はなく、憲法に違反する行為や規則は全て無効。もしそのような事があれば、裁判所が「違憲審査権」を発動させます。


と言う事は、「法律よりも校則よりもクラスのスローガンよりも当然強い」わけなので、もし「憲法を無視したルール」があった場合は、従う必要がありません。


その一方、大日本帝国憲法では「個人の人権」に関しては、「法律の定める範囲内」で制限していたので、


「ひょっとしたらこの後みんなの権利を奪う法律が出るかもしれないので、その場合はそっちに従ってね」と書いてありました。治安維持法などがそうですね。


つまり大日本帝国憲法は「最高法規ではなかった」わけです。


最後に。日本国憲法の「すごい」「斬新」なところ。


繰り返しになりますが、前文のこの部分。


「われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。


憲法っていうと、「その国の中の基本ルール」と考えるのが普通ですよね?しかし、太いの部分をご覧になってください。


気づきましたか?


世界初の「自国だけでなく、国外の事まで言及した」憲法である、という事を。


そうですよね。戦争をなくすとか、平和に暮らすなんて、「ひとつの国」が頑張っても、無意味ですから。


さて、お伝えした通り、元々は英文です。前文の英文を載せておきますので、高校生以上であれば、英語のお勉強にぜひ使ってみて下さい。


"We, the Japanese people, acting through our duly elected representatives in the National Diet, determined that we shall secure for ourselves and our posterity the fruits of peaceful cooperation with all nations and the blessings of liberty throughout this land, and resolved that never again shall we be visited with the horrors of war through the action of government, do proclaim that sovereign power resides with the people and do firmly establish this Constitution. Government is a sacred trust of the people, the authority for which is derived from the people, the powers of which are exercised by the representatives of the people, and the benefits of which are enjoyed by the people. This is a universal principle of mankind upon which this Constitution is founded. We reject and revoke all constitutions, laws, ordinances, and rescripts in conflict herewith. We, the Japanese people, desire peace for all time and are deeply conscious of the high ideals controlling human relationship, and we have determined to preserve our security and existence, trusting in the justice and faith of the peace-loving peoples of the world. We desire to occupy an honored place in an international society striving for the preservation of peace, and the banishment of tyranny and slavery, oppression and intolerance for all time from the earth. We recognize that all peoples of the world have the right to live in the peace, free from fear and want. We believe that no nation is responsible to itself alone, but that laws of political morality are universal; and that obedience to such laws is incumbent upon all nations who would sustain their own sovereignty and justify their sovereign relationship with other nations. We, the Japanese people, pledge our national honor to accomplish these high ideals and purposes with all our resources."


私の授業で、この英文を使って「英語の授業」をしつつ、「日本国憲法について学ぶ」という取り組みをした事があります。日本人なら日本国憲法は知っておかないとだしね。


英語やりつつ、社会の公民の勉強にもなって、一石二鳥でしょ?このように、皆さんが飽きないように、ハイブリッドな授業をよくやっております。


「ポツダム宣言」を英文で読むと、「日本は連合国軍に無条件降伏した」が大嘘である、とわかって面白いです笑

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SOLA

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